日本繁殖生物学会 講演要旨集
第108回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-34
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卵巣
ストレス依存的な不妊症に対する芍薬の改善効果
*安井 貴之石崎 華國府 大智清水 隆宮崎 均
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抄録

【目的】女性は激しい運動や種々のストレスで排卵障害を起こす。これはストレスで体内に発生する活性酸素種が原因の一つと考えられる。性周期における卵胞の排卵・閉鎖の運命決定には,顆粒層細胞の生存・死が鍵を握る。当研究室では,ラットが暑熱ストレスを受けると体内で活性酸素種が発生し,顆粒層細胞のアポトーシスが誘発されることで排卵障害に至ることを示している。この実験系は,ストレス依存的な排卵障害を改善する機能性成分の探索に応用可能である。芍薬は古来より漢方薬として不妊症の治療に用いられてきたボタン科植物であり,機能性成分であるPaeonol(PA)およびPaeoniflorin(PF)を含む。本研究では,芍薬抽出液およびPA,PFによる排卵障害の改善効果を実証し,その作用機序の一端を明らかにすることを目的とした。【方法】①21日齢雌ウィスターラットを対照区(25℃)と暑熱区(35℃)に分け,対照区ではコーンオイル,暑熱区ではコーンオイルのみまたはサンプル懸濁液を1日1回,計5回経口投与した。暑熱暴露は計96時間行い,2種のゴナドトロピンを皮下注射し排卵を誘発し,卵管膨大部にある排卵卵子数を測定した。②健常ブタ卵巣の卵胞から顆粒層細胞を調製し,10%血清を含むDMEM/F-12HAM培地を用い24時間培養した。その後サンプル存在下で24時間培養した後サンプルを除去し,H2O2を培地中に添加し16–18時間後にトリパンブルーを用い生存率を測定した。【結果】①暑熱ストレスにより減少したラット排卵数は,芍薬根の乾燥粉末の投与により改善された。②PA,PF,芍薬根抽出物および葉抽出物はそれぞれH2O2依存的な顆粒層細胞のアポトーシスを抑制した。以上のことから,芍薬が顆粒層細胞に酸化ストレス抵抗性を付与することで排卵数減少を改善することが示唆された。これは,古来からの芍薬の不妊症改善効果に科学的根拠を提供するものである。

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© 2015 日本繁殖生物学会
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