日本繁殖生物学会 講演要旨集
第109回日本繁殖生物学会大会
セッションID: OR1-5
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性周期・妊娠
PRL,EGF,4-OH-E2 各因子の添加培養がマウス体外受精由来胚盤胞の着床能力に及ぼす影響
*関 美沙都竹内 美紀福井 えみ子松本 浩道
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抄録

【目的】本研究室では,プロラクチン(PRL),上皮成長因子(EGF),4-ヒドロキシエストラジオール(4-OH-E2)を複合添加することで,胚移植によるマウス体外受精由来胚盤胞の着床能力が有意に向上することを報告している。また,これらの処理を行った胚において,着床に関連する因子の発現が上昇することを確認した。本研究では,マウス体外受精由来胚盤胞についてPRL,EGF,4-OH-E2それぞれの添加培養を行い,胚移植することで,胚の着床能力に作用する因子について検討した。【方法】ICRマウスを用い,体外受精由来胚盤胞を作出した。基礎培地として修正KSOMを用いた。培養90時間後の胚盤胞において,培養液にPRL,EGF,4-OH-E2をそれぞれ添加し,24時間培養した。偽妊娠4日目の雌マウスの一方の子宮角に無添加区の胚,もう一方の子宮角に各因子添加区の胚をそれぞれ6個ずつ移植した。移植の2日後にブルーダイ法により,着床部位を可視化し,着床率を評価した。【結果】PRL添加区の着床率は57.6%,無添加区の着床率は47.0%であった。EGF添加区の着床率は43.9%,無添加区の着床率は43.9%であった。4-OH-E2添加区の着床率は61.1%,無添加区の着床率は52.0%であった。すべての添加区で,無添加区との間に有意な差はなかった。これまで本研究室では,PRL,EGF,4-OH-E2それぞれの添加処理をした胚において,着床関連因子の発現動態が異なることを報告している。また,上記の3因子複合添加処理を行うことで,これらの着床関連因子が同時に発現上昇することを確認している。本研究の結果から,PRL,EGF,4-OH-E2の単独添加による作用では,胚の着床能力の向上には至らないことが明らかになった。このことから,3因子複合添加処理では,マウス胚における異なる経路が同時に賦活化されることで,胚の着床能力を向上させていることが示唆された。

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© 2016 日本繁殖生物学会
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