日本繁殖生物学会 講演要旨集
第111回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-22
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ポスター発表
ブタ卵母細胞の体外発育および卵母細胞−卵丘細胞複合体の発達に及ぼすGDF9の影響
*森川 莉帆ALAM Md Hasanur宮野 隆
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抄録

【目的】卵胞内で卵母細胞は周囲の顆粒膜細胞/卵丘細胞と結合し,相互に情報伝達を行いながら発育する。卵母細胞の体外発育では,これらの体細胞と卵母細胞との相互作用を維持することが重要と考えられる。家畜の初期胞状卵胞から採取した発育途上の卵母細胞の体外発育培養には,卵丘細胞に加えて壁顆粒膜細胞をも含めた複合体が用いられることが多いが,採取がより容易な卵母細胞−卵丘細胞複合体(OCC)を用いた体外発育培養系が実用的と思われる。growth differentiation factor 9(GDF9)は,卵母細胞が分泌するTGF-βスーパーファミリーに属する成長因子である。本研究では,発育途上のブタ卵母細胞を含むOCCを培養し,卵母細胞の発育およびOCCの形態に及ぼすGDF9の影響を検討した。【方法】ブタの卵巣表面から組織片を切り出し,直径1.2~1.5 mmの初期胞状卵胞からOCCを採取した。血清,PVP,ヒポキサンチンおよびFSHを添加したα-MEMを基礎培養液とし,さらに0,10,50または100 ng/mlのGDF9を添加した培養液中でOCCを5日間体外発育培養した。培養3日後および5日後にOCCの形態を観察し,卵丘細胞が卵母細胞を完全に覆っているOCCを正常と判断した。培養開始時,培養3日後および5日後に,OCCの直径を測定した。また,発育培養終了後,卵母細胞の直径と核相を調べた。その後,形態的に正常なOCCを48時間体外成熟培養し,卵母細胞の成熟能力を比較した。【結果】培養開始時に170~190 µmであったOCCの直径は,培養5日後にはGDF9添加区でいずれも無添加区と比較して増大した。培養開始時に約115 µmであった卵母細胞の直径は,いずれの区においても,培養5日後に120 µm以上へと増加し,卵丘細胞の核相は,体内で発育を完了した卵母細胞と同様な状態へと変化した。また,成熟培養後,卵母細胞は第二減数分裂中期へと成熟した。以上の結果より,GDF9は卵丘細胞の増殖を促進すると考えられる。

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