主催: 日本繁殖生物学会
会議名: 第114回日本繁殖生物学会大会
回次: 114
開催地: Web開催(京都大学)
開催日: 2021/09/21 - 2021/09/24
【目的】GPR120は長鎖脂肪酸を天然リガンドとするGタンパク質共役型受容体の1つである。これまでに当研究室ではマウスやウシ下垂体のゴナドトロフにGPR120が局在することを組織学的に報告している。しかし,GPR120に対する特異的なリガンドが存在しなかったことから,ゴナドトロフにおけるGPR120の生理的機能解析は進んでいなかった。本研究では新規に開発されたGPR120特異的アゴニストTUG891とアンタゴニストAH7614を用いて,ゴナドトロフのGPR120活性化が性腺刺激ホルモン合成と分泌に与える影響を検討した。【方法】実験にはゴナドトロフ株化細胞LβT2を用いた。実験群としてTUG891暴露群(TUG891群),TUG891とAH7614共暴露群(TUG891+AH7614群),およびコントロール群を作製した。これら群の培養液中LHとFSH濃度測定,および細胞内LhbとFshb mRNA発現量の定量を行った。さらに,LβT2細胞がTUG891暴露により受容体を介した細胞活性を起こすか,ERKリン酸化と細胞膜電流を指標として検討した。【結果】 TUG891暴露群において培養液中LHおよびFSH濃度がコントロール群に比べて統計的有意に増加した。この増加はTUG891とAH7614の共投与群では見られなかった。また,TUG891暴露群ではFshb mRNA発現量が低下したが,TUG891+AH7614投与群ではこの低下は見られなかった。次に,細胞膜電流を測定したところ,TUG891暴露した細胞で–40 mV付近をピークとした内向き電流の増加を観察した。さらに,TUG891暴露した細胞において暴露後10分をピークとしたリン酸化ERKのバンドを観察した。これらの結果は,下垂体のゴナドトロフには機能的GPR120が存在し,MAP kinase経路等を介して,LHおよびFSH分泌を誘起すると共に,Fshb mRNA発現を抑制するメカニズムの存在を示唆するものである。