日本繁殖生物学会 講演要旨集
第99回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-74
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生殖工学
極体および初期胚割球からのES細胞樹立の試み
*若山 清香岸上 哲士坂出 裕子Van Thuan Nguyen大田 浩引地 貴亮水谷 英二Thuy Bui Hong若山 照彦
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抄録

【目的】昨年マウス8細胞期の1割球からES細胞の樹立が可能であることが報告されたが、その方法はES細胞との共培養が必要で、樹立成績は4%であった。そこで本研究では第1極体から8細胞期までの1割球を用い、ES細胞の樹立成績の改善を試みた。【方法】第1極体は除核卵子へ注入後、SrCl2およびサイトカラシンで2倍体単為発生胚に、第2極体は除核後に活性化した卵子へ電気融合し、24時間後に2細胞期胚を再び電気融合して2倍体単為発生胚にした。2,4および8細胞期の各1割球はマイクロマニュピレータで取り出した。それぞれの胚あるいは1割球はフィーダー細胞を敷いた96穴プレート内で血清フリーのES細胞樹立用培地にて樹立を行った。樹立できた細胞はすべてES細胞マーカー(AP, Oct3/4, Nanog)染色、および染色体の正常性をギムザおよびSKY染色で確認し、またキメラマウスを作成することにより多能性を確認した。【結果および考察】第1極体および第2極体からは単為発生ES細胞を38%および10%の成績で樹立できた。2、4および8細胞期の1割球からはES細胞を64%、23%および18%で樹立することができた。この成績はES細胞との共培養を必要としないシンプルな方法であるにもかかわらず以前の報告よりいずれも高率であった。また樹立したすべての細胞はES細胞マーカーにポジティブであり、キメラの作成を試みたすべての細胞株からキメラが生まれている。第1および第2極体は胎児への発生に寄与しないが、正常なゲノムを持つことから他の卵子の細胞質を借りることで有効利用できることが明らかとなった。また、2,4および8細胞期の各割球から高率にES細胞が樹立できたのは、より適した培養条件を与えたためだと考えられる。今後さらに成績を改善できれば、受精卵から一割球を取り出してES細胞を樹立し、残りを移植して発育させることで、生まれた瞬間から自分自身のES細胞を所有する産子の作出が可能になるかもしれない。

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© 2006 日本繁殖生物学会
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