外来種の二枚貝であるタイワンシジミ(Corbicula fluminea)が近年生息圏を広げている.二枚貝はろ過摂食を行う懸濁物食者であるため,植物プランクトンをはじめ,細菌やウイルスを取り込み消化または体内に蓄積すると考えられる.そこで,タイワンシジミを大和川水系から採取し,河川水の糞便汚染指標である大腸菌と水系感染をおこすウイルスのモデルとしてバクテリオファージMS2をそれぞれ除去することが可能であるかを調べた.その結果,タイワンシジミは,水中ならびに砂間隙水の大腸菌は除去することができたが,MS2は除去できなかった.この違いは細菌細胞とバクテリオファージ粒子の大きさに原因があると考えられた.以上のことから,タイワンシジミによって環境中の指標細菌の計数値を減少させることが可能であり,病原細菌は同時に除去されることが期待できるが,ウイルスについては除去されない場合があることが明らかとなった.その場合は細菌指標の有効性が低下することに留意しなくてはならない.