環境技術
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研究論文
生物亜硝酸化と水熱反応の組合せによる高濃度排アンモニア除去
山﨑 博人吉屋 愛恵德永 大根來 宗孝宮越 昭彦福永 公寿
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2015 年 44 巻 10 号 p. 568-573

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抄録

 本報では工業排水中の高濃度アンモニア態窒素(NH4-N)と,NH4-Nの生物亜硝酸化反応より得た高濃度亜硝酸態窒素(NO2-N)を用いた亜臨界水熱反応を検討するため,反応温度を140,160,180,200℃の4種,NH4-N とNO2-N 濃度を等モルに調整した各1,500,3,000,5,000 ㎎/L の3グループの模擬排水を,無触媒による振とう攪拌下で,耐圧容器内にて1hの反応に供した.
反応温度が180と200℃の場合,全濃度領域で総合除去率は90%以上に達した.そして,反応温度が140℃と低い場合でも,NH4-N とNO2-N の初期濃度が5,000 ㎎/L 以上では,総合除去率が90%以上に到達した. 一方,生物処理水を用いた場合は,90%以上の総合除去率を達成するのにNO2-N 初期濃度がNH4-N のそれの1.6~2.2倍モル必要であった.
生物反応に化学・物理反応を組み合わせた本研究の成果は,汚泥排出量などの生物処理でのデメリットを軽減した,効率の良い,消滅型の工業排水中の高濃度窒素除去システムの構築につながるものと期待される.

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© 2015 環境技術学会
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