環境技術
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生物学的脱窒素反応の高能率化に関する研究 (I)
―生化学反応のモデル化と動力学的取り扱い (その1) ―
村上 定瞭石川 宗孝中西 弘
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1984 年 13 巻 4 号 p. 274-279

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抄録

有機物の酸化および硝化・脱窒に関する種々の細菌類が共存する活性汚泥法について, この混合微生物集団が行う各生物化学反応をモデル化し, 反応槽内の各成分についての動力学的取り扱いを行った.
回分実験により, (1) 有機炭素源およびアンモニア態窒素は生物学的酸化還元反応において, 電子供与体として競争関係にあり, また, (2) 溶存酸素および (亜) 硝酸態窒素は電子受容体として競争関係にあることがわかった.
有機物の酸化, 硝化および脱窒に関する微生物が行う外生呼吸, 細胞合成および内生呼吸について, それぞれの生化学反応をモデル化した.槽内の各成分の速度式を, つぎに示す動力学的モデルに基づき導いた. (1) 処理系は完全均一混合型であり, 処理速度の律速は生化学反応であるとする. (2) 生化学反応速度は, 関与する物質および特定の反応に対して活性化された汚泥に関してそれぞれ見かけ上1次とする. (3) 各微生物の行う反応は, 外生呼吸をまず最初に考慮に入れ, つぎに細胞合成を補正項として扱い, 内性呼吸は無視できる程度とする.
この速度式を用いて, 反応槽内の各成分 (BOD, Kj-N, NO-x-N, DOおよびMLSS) の濃度を時間の関数として計算し, 回分実験値と比較したところ, よい一致が見られた.

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