環境技術
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三日月藻の新しい指標を用いた陰イオン型と非イオン型界面活性剤の毒性評価
金 尚吉松井 三郎濱田 仁
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1998 年 27 巻 4 号 p. 274-281

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抄録

三日月藻の増殖阻害を増殖量 (Cell growth: A) , 正常接合子形成比 (Normal zygospore forming ratio: Y) , 無性有性影響比 (EC50 Ratio: REC50) の新しい指標を使用して, オキシエチレン鎖付加の非イオン型と陰イオン型界面活性剤が生殖に及ぼす毒性を藻の増殖や形態変形と化学構造との関係により評価した.陰イオン型と非イオン型の増殖阻害では陰イオン型がはるかに強い細胞毒性を示した.特にオキシエチレン鎖付加の非イオン型界面活性剤では鎖長の増加に伴い, 三日月藻に対する毒性が低下した.それらの結果はイオン型の吸着性, 親水基や疎水基の化学構造による他の毒性結果とよく一致した.ミジンコや魚を用いた試験より三日月藻試験の方が敏感であった.新しい指標を用いた三日月藻の試験は顕微鏡で観測する不便があるが, 短時間 (96時間) , 低費用, 試験の簡単さ及び敏感さ, 結果の視覚化などのメリットを持つので, 試験法として生態毒性研究への適用は充分であることを示した.

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