環境技術
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濃度相関マトリクスによる琵琶湖堆積物の化学的特質の評価
山崎 秀夫横田 喜一郎高山 理英子原野 幸一吉岡 知彦合田 四郎
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1999 年 28 巻 11 号 p. 827-836

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抄録

琵琶湖堆積物の化学的特徴をその成分濃度の比を試料相互間で比較する多成分濃度相関マトリクス法を用いて解析した.柱状堆積物試料は北湖の3地点, 南湖の9地点から採取し, その表層から深さ15cmまでの化学組成を蛍光X線分析法で定量した.堆積物中のS, P, Cl, Mn, Cu, Zn, As, Ba, Pbの鉛直分布はこれらの元素が人間活動や堆積後の続成作用の影響を受けていることを示したが, Si, Al, Fe, Ti, Na, K, Mg, Ca, Cr, Ni, Rb, Srについてはこのような影響を受けていなかった.したがって, 試料間の相関数はこれら12元素の分析値を用いて計算した.琵琶湖の北湖および南湖から採取した堆積物の間ではそれぞれ隣接する地点間で0.75以上の高い相関数が得られた.一方, 北湖の北部と南湖の問では相対的に低い相関関係が認められた.南湖においては, その北東部の堆積物が南湖の他の地点との間で低い相関関係を示した.このような琵琶湖堆積物の相関関係は湖水中を堆積物質が移送する過程でその化学成分が物理的, 化学的な再分配を受けながら沈積していると考えることで説明できる.琵琶湖堆積物の相関関係を濃度相関マトリクス法を用いて定量的に評価することができた.

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