2002 年 31 巻 12 号 p. 973-982
本研究は大阪湾ベイエリアにおける光化学オキシダント (Ox) の生成とその原因物質発生量の関係をシミュレーションにより検討することを目的としている.この第1報では, 3次元大気環境シミュレータOASISの概要を述べ, 大阪湾ベイエリア (180km×180km×5km) 中の3エリア (播磨36km×28km, 阪神32km×32km, 大阪28km×36km) における典型的な夏季晴天日の大気汚染物質 (NO, NO2, O3) 濃度の計算精度を検証した.大気汚染の地域性・季節性を表現するため, 大阪と兵庫を中心とした106ヶ所の一般環境大気測定局において1991~1995年の8月の延べ155日間に測定されたデータから抽出されたOxの発生が顕著な典型的な夏季晴天日 (降雨量=0mm/日, 日最高気温≧35℃, 日最大日射量≧3.0MJ/m2/h, 日平均風速≦4.0m/s, 一般風が弱い) 37日分のデータの空間平均値を計算値の比較対象とした.風速ベクトルを一致性インデックスによって, 光化学オキシダント濃度をUSEPAの推奨する現況再現性能によって評価したところ, OASISが大阪湾ベイエリアの典型的な夏季晴天日の大気汚染状況を再現するに十分な精度を有していることが示された.