日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第50回大会
セッションID: FP-242
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低線量・低線量率の効果
脂肪前駆細胞分化過程における海洋微生物由来物質と放射線ストレスの関与
*小野 芙美子吉居 華子西田 典代鈴木 啓司渡邉 正己
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キーワード: 脂肪細胞, 分化, 脱分化
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抄録
現在、糖尿病、高血圧、高脂血症などの生活習慣病の主原因のひとつである肥満が急増しており、肥満や脂肪細胞に関わる研究が注目されている。肥満は脂肪前駆細胞から分化した脂肪細胞が脂質を蓄えて肥大した状態であると考えられているので、脂肪前駆細胞の分化機構について研究することは非常に有益である。我々は、海洋微生物由来の物質が脂肪細胞分化を抑制することを発見した。驚くべきことに、それらの海洋微生物由来の物質の中には、脂肪細胞の脱分化機能を有していた。細胞周期がG1/G0期で停止することが細胞分化の引き金になることはよく知られており、さらには放射線が細胞周期停止を引き起こすことが数多く報告されている。環境ストレスの中の1つである低線量放射線に関しては、放射線照射により細胞に分裂異常が生じてG1/G0期で細胞周期が停止することがわかっていることから、適当な線量の放射線が分化を誘導する可能性がある。ゆえに、細胞分化の機構を研究すれば、細胞分化にはストレス応答が重要であることが解明され、また、肥満予防に貢献するかもしれない。今回、環境ストレスによる分化誘導と分化抑制機構について発表する。
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© 2007 日本放射線影響学会
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