日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第50回大会
セッションID: HO-065
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被ばく影響とその評価
天然に存在する元素のコメへの移行係数
*田上 恵子内田 滋夫
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抄録
放射性廃棄物地層処分における安全評価および生物圏評価モデルでは、土壌から農作物への移行係数(Transfer Factor, TF)が重要なパラメータである。これまで我が国ではIAEAから1994に発行されたTechnical Report Series No.364などの環境中の放射性核種移行パラメータ集を利用してきた。このデータ集には主に欧米を主とした温帯のデータがまとめられているが、我が国の主食であるコメへの移行係数のデータはほとんど記載されていない。 IAEAでは2003年から2007年の5年間のプロジェクトEnvironmental Modelling for Radiation Safetyが行われており、このWorking GroupにおいてTRS-364の改訂に関する議論が進められている。ここでは、温帯のデータのみならず、より広い気候帯に幅を広げ、また、いろいろな種類の農作物試料についてのパラメータを集め、農作物の種類別にデータをまとめていく予定である。しかし、コメについては水管理の違いを考慮し、小麦を含む穀類に分類せず、独立したパラメータを提示することになった。 我々はこれまで特にアジアを中心としてコメへのTFを蓄積してきた。しかし、トレーサー実験では核種が限られており、放射性廃棄物地層処分に関わる重要長半減期核種の情報は十分得られていない。長半減期核種の場合は長期間環境と接することから、天然に存在する安定同位体と同様の挙動を示す可能性がある。そこで我々は放射性核種に代わって天然に存在する安定元素を測定することにより、放射性核種のTFを類推するために利用できるのではないかと考え、データを収集した。本発表では、コメへの種々の元素の移行係数について報告する。
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© 2007 日本放射線影響学会
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