日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第50回大会
セッションID: W3-5
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放射線DNA損傷修復機構研究の最前線
ファンコニ貧血コア複合体によるFANCD2/FANCI複合体のモノユビキチン化と相同組換え修復
*高田 穣北尾 洋之木野村 愛子石合 正道
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抄録
ファンコニ貧血(FA)は劣性遺伝性疾患で、進行性骨髄不全、骨格異常、高発がん性を示す。細胞レベルでは、mitomycin C(MMC)などのDNAクロスリンカー剤に対する高感受性と、マイルドな放射線感受性を示す。FA の13にのぼる原因遺伝子群はFA経路において共同して機能し、その異常によって引き起こされる相同組換え異常が病態の基盤をなすと考えられる。8種類のFA遺伝子産物で構成されるFAコア複合体はE3ユビキチンリガーゼであり、DNA障害後FANCD2をモノユビキチン化する。我々は、コア複合体がさらにFANCD2のクロマチン移行とフォーカス形成、DNA修復においても機能することを報告した。しかし、つい最近同定されたFANCIはFANCD2と複合体形成し、コア複合体によってモノユビキチン化されることが報告されており、我々の観察したコア複合体の新規機能は実はFANCIのモノユビキチン化によって説明される可能性が出てきている。我々は、FANCI欠損DT40細胞を樹立し、FANCIのモノユビキチン化、リン酸化の機能的意義について解析を行っているので、報告する。
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© 2007 日本放射線影響学会
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