日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第50回大会
セッションID: W6-5
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環境生物・生態系の放射線影響を科学する
環境影響研究における新しいトランスクリプトーム手法「HiCEP」の活用
*藤森 亮
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抄録
HiCEP法は、従来のAFLP(arbitral fragment length polymorphism)をもとに、一つの転写産物がただ一つの電気泳動バンドに対応するように改良された新しい網羅的遺伝子発現解析法である。データを与えるDNA断片は、対象とする真核生物に発現しているmRNAそのものに由来し(ハイブリダイゼーションによらず)、原理的にその6-7割を分離展開させることができる。HiCEP法によって得られる多数のピークシグナル(=遺伝子一つ一つの発現強度)からなるプロフィールは、固定された時点における試料の遺伝子発現状態の全体を反映するいわば「スナップ写真」となる。同一サンプルである限り、得られた発現プロフィールはつねに写真のようにぴったり重なり合うため、放射線、化学物質等さまざまな外界の影響で変化する特定の遺伝子発現の増減を、2枚のスナップ写真を重ね合わせる手法で、見事に検出できる。放医研で発明・開発がすすんできた同法を、今回、土壌および水系環境の指標生物としてすぐれたトビムシ、緑藻に適用した例を紹介したい。
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© 2007 日本放射線影響学会
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