日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第52回大会
セッションID: OB-21
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アポトーシス
ヒト肺癌A549細胞におけるパルテノライド及び温熱併用によるNF-κB活性阻害効果とアポトーシス誘導
*林 幸子櫻井 宏明畑下 昌範松本 英樹
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抄録
【目的】転写因子NF-κB活性を阻止するとされているセスキテルペン類パルテノライドの温熱増感効果のメカニズムについてwtp53遺伝子を有するヒト肺癌A549細胞を用いて解析した。パルテノライドはNF-κBシグナル経路においてp53-及びhsp72-independentにアポトーシス誘導することを明らかにした。フローサイトメトリーにおける画分によるアポトーシス誘導率はパルテノライド、温熱の併用処理により各々の単独に比べ有意な増加が見られた。パルテノライドの温熱増感効果についてNF-κB活性の動態および細胞周期応答を解析した。
【材料と方法】パルテノライドは培養液中に溶かし最終濃度を0.02µMとし実験に供した。A549細胞の温熱・薬剤に対する感受性はコロニー形成法により評価した。同処理後のp53、hsp72およびNF-κBの動態評価はWestern blot法により行った。アポトーシス誘導量の評価はFlow Cytometry解析により行った。
【結果】Hydroxyureaにより同調されたA549細胞のパルテノライドに対する細胞周期位相応答は温熱と同様、S期に高感受性であった。フローサイトメトリーにおけるアポトーシスの画分はパルテノライド及び温熱の併用処理により各々単独処理に比べ誘導率が有意に増加した。またG2/M期の増加、G0/G1期の減少が見られたことからCell Cycle Arrestの誘導が明らかになった。NF-κB活性の阻害効果はパルテノライドにより認められず温熱に見られ、更に併用処理において増強された。
【結語】パルテノライドと温熱との併用処理による抗腫瘍効果はNF-κB活性の阻害によるがパルテノライド単独ではその効果は認められずむしろ温熱によって認められた。パルテノライドは温熱によるNF-κB活性の阻害効果を増強し、細胞をアポトーシスやアレストに誘導することで増殖を阻止することが明らかになった。
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© 2009 日本放射線影響学会
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