知能ロボットシステムの構築のためには, 高いレベルのロボット言語の存在が不可欠である.我々の研究室では, 既に動作レベルの言語処理系AL/Lが作成されているが, この度その処理系の上に, 積み木の世界を対象とする作業目標レベルと対象物状態レベルの言語処理系の設計と試作を行ったので, 本論文ではその内容についてアーチの例を示しながら述べる.
試作した作業目標レベルの処理系は, たとえば (build arch) という入力に対し, 概念モデルに記憶してあるアーチの情報から具体的な目標状態の記述を作成して, (make〈アーチに相当する状態〉) という出力を対象物状態レベルの処理系に渡す.対象物状態レベルの処理系は, 目標状態の記述から作業手順を自動的に生成し, 各物体の位置と姿勢を算出して動作レベルのAL/Lのソースコードを出力する.これらの処理系は, あらかじめ概念を登録しておきさえすれば, 作業目標を入力するだけで動作レベルにまで展開してくれるので, 人間のプログラマーは環境状態やロボットの構造を意識せずにプログラムを書くことができる.