形状記憶合金を用いたサーボアクチュエータ (SMAアクチュエータ) は, 従来のアクチュエータにない特異な機能性を発揮することから, 今後ロボットのための新たな駆動源となることが期待される.本論文はSMAアクチュエータについて, アクチュエータとしての評価と, アクチュエータ構成上の基本的な諸問題を論ずるものである.まずSMAアクチュエータは, 形状記憶合金自体の熱弾性型マルテンサイト変態により駆動されることから, 原理的にしゅう動部を持たない駆動系であり, 特に軽量アクチュエータを構成しようとする場合においては出力重量比を高くし得ること, 反面, 基本的には低温度差熱機関であることからエネルギ効率は低く, また応答性も本来それほど上げられないことなどの基本特性を論ずる.次いで, それらの欠点のうちのいくつかは, 特別のSMAアクチュエータの構成法を導入することにより解決できることを示す.その構成法とは, 「SMAワイヤを構成的には並列に, 電気的には直列に結線する」というものでありξ-arrayと呼ぶ.これは表面積の増加による応答性の向上, SMAワイヤの電気抵抗値の増大化による電力供給のためのリード線の微細化, 電源及び電力制御系の簡素化, SMAのセンサ機能の積極的活用などを可能にするものである.最後に以上の考察の妥当性を, ξ-arrayを導入した抵抗値制御による拮抗型SAMサーボアクチュエータシステムの試作, 実験により検討する.その結果, 抵抗値フィードバックにより, 外気温度等の冷却条件の変動に影響されにくいサーボ特性が得られることなどを明らかにする.