グライディング作業や研磨作業など, 我々がロボットに行なわせたい作業においてはロボットの手先の位置と力を絶妙に制御する必要がある.このような場合, 対象物からの反力などは対象物の表面形状に依存するため推定し難く, 一般に位置と力の高精度な制御を実現することは困難である.ロボットの位置制御については従来より試行の繰返を利用した一種の学習方式が提案されている.この方式では目標運動を実現するために, 実際に何回か試行を繰返し試行毎にロボットの運動を目標運動に近づけるものである.この場合ロボットへの入力パターンは実際の運動データのみから構成されるので, ロボットダイナミクスや外乱を推定する必要がないというメリットをもっている.力制御で問題となる反力などの外乱は推定は困難であるが比較的再現性のあるもので, 試行の繰返による学習方式によって補償できると期待できる.そこで本論文では, 力と位置のハイブリッド制御に学習方式を適用することを考える.まず, 反力などがある場合にも学習方式が有効であることを理論的に示す.次に実際にグライディング作業と曲面の研磨作業をロボットに行なわせてその有効性が実験的に示される.