様々な状況を予測して, 手および目を使いこなすプログラムを作成することは容易でない.手および目の利用法を蓄積した知識ベースの利用は一つの解決法となる。
そのためには従来のハンドリングの観点からのモデルあるいは視覚機能からのモデルのみならず, 両者を協調させるという観点からの作業のモデルが必要となる.
本論文では, 協調作業の概念に基づいた『手と目の協調作業モデル』, およびこのモデルの枠組に従って統一的に知識を集積した『協調作業知識ベース』を提案する.モデルに集積されている知識はハンドアイ作業における基本的な手続きとなっており, 一般性をもって利用できることがこの知識ベースの特徴である.
本論文の協調作業知識ベースにより得られる効果は以下のようなものである. (1) 手と目の働きに従ったワールドモデルの統一的管理が自動的になされる. (2) ハンドリング作業を実行するにあたり, 効果的な視覚の機能が自動的に呼び出される. (3) 視覚の機能に有効な手の動作が自動的に呼び出される.論文では, この『協調作業知識ベース』を利用したバルブの分解作業の実験例が示されている.