日本ロボット学会誌
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連想データベース自己組織化と自律移動知能ロボットへの応用
鈴木 寿大西 弘之有本 卓
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1987 年 5 巻 6 号 p. 431-441

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抄録

連想データベースを自己組織化する簡単で効率の良い方法を提案すると共に, 自律移動知能ロボットへ応用する.システムは, 予め規定された処理部と, 初期状態では空白な記憶部とから成る.現時点の入力信号に対し, 処理部はこれに似ている過去の入力信号を記憶部から検索し, その関連情報を呼び出す.もし現入力信号の随伴情報がこの関連情報と一致しなければ, 新たな情報が記憶部のデータベースに付加され, その影響は次回の処理に反映される.このように記憶状態と入力信号の双方に依存して, データベースは自己組織化的に成長してゆく.データベース組織化の履歴は入力系列に依存するので, 個々のデータベースは固有な構造を獲得する.もし十分な長さの入力系列が与えられると, 入力信号と関連情報の対応関係は, 入力系列のそれに一致するようになる.脳における直観的情報処理の概念的ではあるが本質的なモデルを与えているという点で, また実用的立場からは, 要求された応答をユニパーサルに学習する学習機構へ応用できるという点で, 本システムは意義深い.この学習機構を利用した廊下用のカメラ方式自律移動ロボットを紹介する.ロボットの頭脳は, プロセッサーi80286を搭載したマイクロ計算機によって構成され, ロボットの行動は, C言語に追加設計した小規模のロボット言語を用いて制御される.良好な実験結果が示される.

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