日本ロボット学会誌
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テレイグジスタンスにおける視覚情報提示系の設計と評価
舘 章荒井 裕彦
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1989 年 7 巻 4 号 p. 314-326

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抄録

人が直接作業を行うのが危険な作業環境下でロボットに作業を行わせるなどの場合, オペレータが直接そのロボットの存在する場所で作業をしているような臨場感を有して現場の状況を把握し作業を行えることが望ましい. そのようなテレイグジスタンス (Tele-existence) システムを構成する重要な要素の一つとして, 臨場感の高い視覚情報の実時間提示システムがある. このシステムの実現方法として, オペレータの頭の動きを実時間計測し, それに基づいて配置や大きさを人のそれらと同等にした両眼のテレビカメラシステムを実時間制御することによって, 人の網膜上に実際の環境を直視しているのと全く同一の2つの2次元画像を常時提示し臨場感を生じさせる方式を提案し, 試作装置により有効性を確認した. さらに, 心理空間を定曲率のリーマン空間で近似し, 人の直接視による空間知覚と提示装置を介した空間知覚とを定量的に比較し, 装置の臨場感を評価した.
この画像は自然色で提示され, かつ頭の運動を空間の自由度と同一の自由度として拘束感なしに, 視野の拡大を可能とする臨場視覚情報提示システムとなっている.

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