人工知能学会第二種研究会資料
Online ISSN : 2436-5556
次世代の人工知能とその開発エコシステム
下村 拓滋
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2019 年 2019 巻 AGI-012 号 p. 01-

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抄録

筆者は2015年よりビジネスに活用する目的でヒトの能力開発に役立ち、仕事を標準化して代行できる人工知能(AI)のリサーチを開始。4年間のリサーチの結果、部分的には実現できている技術はあるものの目標とするAIは実現していないと判断。これは意思決定後の脳における情報処理(課題解決)の解明は進んでいるが、ヒトが意思決定する時の情報処理(課題設定)の解明が進んでいないことによる。能力とは自主課題を設定しそれを解決すること。仕事を標準し代行するためには仕事の課題を設定、解決手順を確立し、再現することが必要となる。そこで課題を設定し、課題を解決するAIを次世代の人工知能(nextAI)と定義し、このAIの製品コンセプトと開発を可能にするエコシステムを提案する。これは人口減少を補う生産手段となる。これを開発するためのエコシステム(生態系)とは、今、存在しないAIを現し(0→1システム)、そのAIを社会基盤としてヒトの能力開発と仕事の自動化を際限なく繰り返す社会システム(1→∞システム)である。0→1システムでは仮説を検証して品質を保証したA Iを実現し、1→∞ システムでは社会の変化に対応してA Iの品質を保証するため変更管理を行う。nextAIは自律的にバージョンアップする。それは、nextAIが学習し、知識を体系化し、推論の精度を高めて行くことによる。この仮説の中核的概念はヒトのたった一つの行動原理(principle)。なお、nextAIにおいて事実把握の時間差や、事実からの学習と推論の検証が不十分であった場合、principleが上手く適用されないことが社会リスクとなる可能性がある。この社会におけるリスクマネジメントは医薬品の世界的な産官学の協力監視体制をモデルとする。

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© 2019 著作者
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