2022 年 2022 巻 FIN-028 号 p. 144-
投資や融資の分野において,各企業が公開するESG の情報が重要な判断材料となり始めている.しかし,今日の日本のESG 情報開示は基準やフォーマットが統一されていないため,企業間のESG 情報を統一された指標で比較することには時間と労力を要する.ここで,企業が公開するオープンデータを,既存のESG 情報を開示する枠組みに則って整理することができれば,投融資におけるESG リスクの判断をより迅速かつ正確に行うことができる.そこで,本研究では,企業が公開しているESG に関連する文章をESG 情報開示枠組みの1 つであるGRI スタンダード(Global Reporting Initiative standards)に則って分類するモデルを作成する.具体的には,まず,企業が公開するGRI スタンダード対照表と,これらに紐づけられた統合報告書やWebページを基にアノテーションを行うことでESG 文章のデータセットを作成する.次に,日本語に特化した独自のBERT を基にファインチューニングを行うことで,GRI スタンダードに準拠した分類モデルを構築する.このとき,GRI スタンダードは項目が複数の粒度で枝分かれしているため,分類する粒度を変えた2 つのモデルを併用する手法を提案する.