農業機械学会誌
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アジア諸国における米の収穫後処理技術の展開とその社会経済的要因 (第2報)
古賀 康正
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1989 年 51 巻 6 号 p. 107-115

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抄録
本報告は, タイに1976-79の間滞在して調査した結果の分析・考察と, 日本の収穫後処理技術の発展の歴史に考察を加えたものである。
タイの米の加工・流通は民間の手にあり, 競争によって賃精米所の技術的改善が進んだ。しかし商業精米所は華僑系の業者が商業利潤の追求を主としており, 技術的に停滞している。籾品質が価格に反映しないから農民の籾質改善の意欲は乏しく, また精米業者の社会的地位も不安定で技術的改善のための投資が困難となる悪循環となっている。
日本では玄米流通により農民は有利であり, 農業生産発展の契機も得られた。米品質相応の価値が得られるから栽培と調製の技術が発展し, 協業・共販・地域産業も進んだ。農村の商品経済化が進み, 教育が普及し, 農民は近代産業に適応する能力を獲得した。収穫後処理技術の進展が農業機械化の基礎を形成した。精米所は特異な性格をもっている。
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