1990 年 52 巻 2 号 p. 3-9
本報では, 土塊形状の記述をフラクタル幾何学を用いて行った。また, 小土塊の形成において重要と考えられる土塊表面の微小起伏及び亀裂の発生, 発達についても考察した。土塊の輪郭曲線, 亀裂線, 亀裂分布についてフラクタル性を検討した結果, 観測したスケールの範囲で測度と測定量の間にべき法則が認められ, フラクタルの特徴である自己相似性が確認された。また, フラクタル次元を求め, そのフラクタル構造の形成を3種類のモデルで考察し, 土塊形成現象の特徴を検討した。土塊表面の微小起伏や亀裂の形成は, 耕うんづめの高速微小振動領域と関連の深いことを実験的に明かにし, フラクタル性の現れる根拠であるミクロ領域の運動を検討した。