1990 年 52 巻 4 号 p. 29-36
農用ゴム履帯走行部の基本振動特性を究明するため, 第1報では, その振動発生源として考えられる転輪とゴム履帯についてその力学的相互作用を実験により明らかにし, 転輪荷重とゴム履帯の圧縮変位量の関係から, 履帯芯金間で変化する履帯ばね力を規定する式の導出を行った。
本報では, 転輪とゴム履帯の力学的相互作用が機体振動にいかなる影響を及ぼすかを定量的に究明するため, 農用ゴム履帯走行部の力学モデルを提案し, 規定したばね力の関係式を用いて, 本モデルにおける釣合い方程式を導いた。また, この方程式を用いて, 剛性水平路面を走行する農用ゴム履帯走行部の運行予測シミュレーションを行い, 転輪配置, 転輪個数の差による機体振動 (ピッチング, ローリング, 重心の上下変位) の大小について比較検討した。