第3報までにトレーラ車輪のアクティブ操向制御方式を提案し, インライン式とオフセット式のトレーラの追従性がこの制御によって大きく改善されることを報告した。しかし, この方式ではトラクタの車輪操向角度を計測する必要があることが, 実用上の問題点となっていた。そこで, トラクタ車輪の操向角度を推定し, これを用いてアクティブ方式を行う方法を開発したので報告する。まず, トラクタ車輪操向角度の推定方式を比較検討した結果, オブザーバによる方法が最も良い成績を示したが, 逆算による方法で実用十分な精度を有することがわかった。逆算による推定では, けん引角度と角速度から, トラクタ車輪操向角度を求めた。この逆算によるアクティブ方式を市販のロールベーラヘ適用し, ステップ応答試験, 90度旋回試験, 蛇行走行試験や圃場での牧草収穫試験を行った。その結果, 推定値を利用したアクティブ制御は, 第3報までに示した方式とほぼ同程度にトレーラの追従性を向上させることがわかった。