省エネルギおよび低コストの耕うん作業として, ミニマムティレッジを行うための高速耕うん装置の開発を目指しているが, その基礎研究の一環として, 現段階では高速耕うん装置のひとつのモデルと考えられるカルチベータ用中耕爪を供試して, 土砂摩耗の特性と耐摩耗性向上のための改善方法について検討を行った。本報では主に摩耗の進行状態について論述し, 第2報では摩耗対策について検討する。まず本報では, 従来のカルチベータ用中耕爪と耐摩耗性があるといわれている新素材ファインセラミックスを利用した溶射爪について圃場実験と室内実験を行い, 作業走行距離に基づく摩耗状態に関して摩耗質量および面摩耗量を主な比較対象として検討した。その結果, 中耕爪先端部と左右両端部の摩耗が大きいこと, および面摩耗量は爪の土壌貫入深さにほぼ比例して増加することを明らかにし, セラミックス溶射を施した中耕爪には面摩耗に関して耐摩耗性の効果があることを確かめた。