試料含水率が反応速度に及ぼす影響を検討した。畜舎から採取した乳牛糞を20℃の環境下で所定の含水率に調整した後, 反応槽に固相率がほぼ一定になるよう充填し, 強制通気によって好気性反応させた。実験の結果, 試料含水率は酸素消費速度に影響を及ぼすことが明らかになり, 含水率約55%w. b. (平均水膜厚さ約3.9×10-9m) の時に酸素消費速度の最大値が観測された。含水率が増加すると充填層中の酸素拡散係数はやや低下するものの, 水中における酸素拡散係数より約500倍も高いことが示された。また家畜糞粒子を球と仮定し, その周囲を水膜が一様に取り巻いているものとして酸素移動係数を計算した結果, 平均水膜厚さが増加するとともに酸素移動係数は減少することが示された。結論として, 含水率約55%w. b. 以上では試料粒子周囲の平均水膜厚さが微生物への酸素供給速度を制限するため, 微生物の酸素消費速度も抑制される。