マイクロ波を利用した食品の加熱加工を最適に行うためには, 被加熱体である食品のマイクロ波吸収特性を知る必要がある。食品のマイクロ波吸収度合いの指標となる誘電特性は, 温度, 含有塩分濃度などに依存するが, これを理論的に予測することは困難であり, このため実測によるデータの蓄積が求められている。そこで本研究では, 種々の塩分濃度 (0%, 0.5%, 1%) 溶液に塩漬した鶏胸肉の誘電特性を周波数0.3~3GHz, 温度3~75℃の範囲で測定した。特に, ISM (Industrial, Scientific and Medical use) 周波数に割り当てられている915MHz (米国) および2450MHzにおける誘電特性の解析を行い, 温度と塩浸の影響について検討した。その結果, マイクロ波の浸透深さは試料温度, 塩分濃度, 周波数によって変化することが明らかとなった。また, マイクロ波加熱により発生するバンピングについては試料塩分濃度が高いほど, 発生頻度が高くなることが明らかとなった。