抄録
葉菜類の品質に関わるとされる生体内水の状態の経時変化を検討するため, オオムギ子葉をモデル試料として, 1H-NMRにより生体内水の動的状態を反映するスピン-格子緩和時間T1を測定し, またオオムギ子葉プロトプラストの低浸透圧耐性の測定により, 生体膜の状態を検討した。これらの実験結果から貯蔵中のオオムギ子葉細胞内部では液胞膜の機能低下が起こることにより, 液胞から細胞質へ水が移動している可能性が示された。液胞からの水の漏出は膨圧の低下とこれに続く萎れを招く。したがって, 全体的な水分損失 (いわゆる目減り) のみならず液胞からの水の漏出が葉菜類の貯蔵性を左右する重要な要因である可能性が示された。