農業機械学会誌
Online ISSN : 1884-6025
Print ISSN : 0285-2543
ISSN-L : 0285-2543
マルチスペクトルイメージングセンサを用いた生育診断システムの構築 (第2報)
小麦の生育状態推定とGISマップ作成
杉浦 綾深川 知久原 令幸石井 一暢野口 伸
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 68 巻 2 号 p. 42-49

詳細
抄録

本研究はマルチスペクトルイメージングセンサ (MSIS) を用いて, 作物の生育状態をリモートセンシングできるシステムの開発を目標とした。リモートセンシングで生育推定を行うには, 屋外の環境光変化によらず, 適切な画像が得られなければならない。そのため, 事前にCCDゲインを自動調整し, センシング中に露光時間を制御できるシステムとした。また, 植被率算出時に障害となる画像中の防除畝を自動認識・除去できるアルゴリズムを考案した。供試作物を小麦とし, 止葉期及び開花期においてセンシング試験を行った。グランドトゥルースとしてSPAD値, 草丈, 茎数, 窒素含有率, 乾物重及び収量を扱った。センシングデータとグランドトゥルースとの重回帰モデルを生成し, 推定精度を評価した結果, 決定係数は止葉期ではSPAD値: 0.72, 草丈: 0.59, 茎数: 0.58, 乾物重: 0.59, 窒素含有率: 0.62, 収量: 0.61となった。また, 開花期ではSPAD値: 0.72, 窒素含有率: 0.62, 収量: 0.54と推定の可能性を示した。一方, 草丈, 茎数, 乾物重については相関がみられなかった。最後に, 導出した校正式をもとにほ場全体の生育状態を示すGISマップを作成した。

著者関連情報
© 農業機械学会
前の記事 次の記事
feedback
Top