抄録
血液濾過においてモジュールの性能を支配するものは膜自体と膜面上に形成されるタンパク層である。ここでは、そのような観点から膜面上に形成されるタンパク層厚みのモジュール内部分布を間接的に調べるべく、東レB1-Lの牛血in vitroによる半径方向濾過流量分布を測定した。その結果、半径方向では濾過流量の偏りがみられたが、その傾向は一定ではなく、血液流量、すなわち膜表面せん断速度の影響を強く受けることが判明した。さらに、自作平膜型モジュールにより長さ方向の濾過流量分布を調べたところ、ダイセルCDA膜にて入口付近においてやや高値を示す傾向がみられた。以上のことから、せん断速度を大きくとることにより膜表面上のタンパク層の生成を抑制し、モジュール性能を向上させることが可能である。しかし、せん断速度はかなりの高値でなければこの効果は期待できないと思われ、今後モジュール構造の改善が望まれるところである。