人工股関節置換術は一般化し, 現在では年長者の非感染性股関節疾患に対する股関節再建手術として最も広く用いられている手術法の一つであるが, その重要な合併症の一つに人工股関節のゆるみ(loosening)がある。今回われわれは当教室で行われた種々の型の本手術のうちでCharnley型, Charnley-Müller型, Weber-Huggler型を中心に追跡調査を行ない, 非感染性のゆるみ(aseptic loosening)ならびにこのために人工股関節の再置換(revision)に至った症例について報告する。Charnley型は2.4%に1ooseningを認めたが, revisionを行った例はない。いわゆるCharnley-Müller型は44%のloosening, 13%のrevisionという成績であった。これらの症例についてlooseningの要因を探索する目的でcomputerによるデータ解析を行ない, またrevisionについてはその適用ならびにわれわれの行っている手術の実際について述べた。