1984 年 13 巻 3 号 p. 1143-1146
ポリ塩化ビニルに側鎖として長鎖ポリエチレンオキサイド(PEO)を有するメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートを光グラフト重合することにより得られたポリマーの血小板との相互作用を家兎を用いた体外循環法により評価した。家兎の頸動静脈間に上記のポリマーにより作製したチューブ(内径5mmφ, 長さ90cm)を挿入し, 血小板数, 血小板凝集能, 血餅退縮能などの経時変化を測定した。その結果, 長鎖のPEOを導入することにより血小板数の低下および血餅退縮能の低下が抑制された。また体外循環後の血液有形成分の付着も著しく抑制されることがわかった。これらの事実から長鎖のPEOを導入した材料は体外循環時に通常, 認められる出血傾向を抑制することが期待される。