人工臓器
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抗腫瘍効果を目的としたLipopolysaccharideの固定化の試み
谷 徹小玉 正智岡藤 太郎花沢 一芳橋本 宇史中根 佳宏西海 四郎寺本 和雄堀沢 昌弘
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1984 年 13 巻 3 号 p. 1163-1167

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抄録

エンドトキシンの抗腫瘍効果を直接生体に応用することを目的として、不溶性担体(ポリスチレン)に化学的に固定化し、新しくLPS固定化繊維を開発した(LPS-F)その生物活性をin vitroにて検討し、Vx2 sarcomaがLPSにより50%の完全寛解をもたらすことを確認の上、担癌家兎に対し、上記のLPS-Fを充填したカラムにてDirect Hemoperfusion (DHP)を施行し、抗腫瘍効果を検討した。LPS-FからLPSの溶出は認められず、家兎発熱試験も陰性であつた。補体活性化能、活性化血清のマウス致死毒性は低下していた。担癌家兎18羽にDHPを腫瘍接種後4~5日又は7~11日に施行した。内、3羽の死亡原因はDHPとは関係なく、血圧、血液ガス分析の検討からもDHP施行中に、シヨツク状態は確認されなかつた。DHP治療を施行した家兎21羽中2羽に腫瘍消失を認めた。腫瘍の発育抑制は残る症例にも認められ固定化LPSにも抗腫瘍効果が保持されていると考えられた。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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