人工臓器
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ヒトリンパ球を用いた医療用プラスチック材料の安全性試験
松川 晃瀬川 智一佐多 和子稲本 元
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1984 年 13 巻 3 号 p. 1185-1188

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抄録

ヒト末梢血リンパ球を用いて各種医療用プラスチック材料の安全性試験を行った。培養液にプラスチックの種々の抽出液を添加し, PHA刺激後培養した時のリンパ球のDNA合成を指標とした。抽出条件ではエタノール(室温1週間), 5%エタノールー生理食塩液(70℃24時間), 生理食塩液, 蒸留水, (各121℃1時間)の順に, またプラスチックの種類では天然ゴム, 可塑剤無添加ポリ塩化ビニル, エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)の順にDNA合成が抑制されたが, エタノール以外の抽出条件では天然ゴムでのみ抑制がみられ, ポリエチレン及びこれとEVAの三層ラミネートフィルムでは以上のどの条件でも抑制は観察されなかった。従来からよく用いられているマウスL細胞の増殖についても同様の傾向がみられたことから, 免疫担当細胞として生体防御能の指標となるヒトリンパ球も医療用プラスチック材料の安全性を確かめる一手段として有用であることが示された。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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