人工臓器
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Polyvinyl alcoholの新しいゲル化法表ならびに医用材料としての基礎的研究
―生体組織との反応について―
田村 康一中村 達雄岡田 賢二水野 浩清水 慶彦伊藤 元彦寺松 孝南部 昌生
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1984 年 13 巻 3 号 p. 1197-1200

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抄録

ゲル化されたポリビニルアルコール(PVA)は、日常広く利用されており、医用材料として、血液透析膜などに用いられ、また微小人工血管・人工硝子体などの用途も追求されている。従来のゲル化法には、化学試薬あるいは放射線照射を併用するなどの問題点があり、また、作製されたゲルには、弾性、機械的強度、耐水性、成型加工などの点に難がある。今回、我々の作成したPVAゲルは、機械的強度に優れ、ゴム状弾性を示し、水不溶性の高含水ゲルであり、その含水率は、80~90wt%にも及ぶ。ほぼ生体組織の含水率に一致する。生体内に埋植した場合にも、生体組織との反応はほとんどみられず、癒着もきたさない。今回、この特性を有するPVA-ゲルを使用して、手術後の癒着防止を目的とした膜としての応用を考えた。その結果、開胸部位に必発の胸膜癒着も防止でき、また、欠損部を作製した心膜の補填材料としても癒着防止効果をみとめることができた。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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