人工臓器
Online ISSN : 1883-6097
Print ISSN : 0300-0818
ISSN-L : 0300-0818
胸部大動脈瘤手術の補助手段としてのウロキナーゼ固定化シャントチューブの実験的検討
岡 良積宮本 巍寺井 浩宋 秀男陶山 勝彦高木 邦彦
著者情報
ジャーナル フリー

1984 年 13 巻 3 号 p. 1213-1216

詳細
抄録

胸部大動脈瘤手術時の補助手段としてシャントチューブによる一時的体外バイパス法があるがチューブの抗血栓性が問題である。今回ウロキナーゼ(UK)固定化塩化ビニール製チューブのシャントチューブとしての臨床応用の可能性について実験的に検討した。雑種成犬を用いて上行大動脈から腹部大動脈に2時間バイパスさせ, チューブの血栓形成の有無を調べた。その結果チューブの内腔には血栓形成は全例みられなかったが, 大動脈への挿入部に高率に血栓形成がみられた。挿入部のチューブの外面のUK残存活性が著明に低下(1u/cm2以下)しておりこれが原因と考えられた。しかし約3倍の高活性UKを固定化したチューブでは, 挿入部に少量のフィブリンの付着がみられた以外血栓形成はみられなかった。このフィブリン形成は大動脈壁の損傷(切開)による生体側の凝固機序によるものと思われ, 高活性UK固定化チューブの臨床応用の可能性が示された。

著者関連情報
© 一般社団法人 日本人工臓器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top