抄録
遠心ポンプにおける溶血の原因として, 血流の中で赤血球に与えられる機械的な変形を考え, 血流の速度勾配と溶血率進行速度との関係を明らかにするために, 動物実験およびin vitroにおける実験を行った. まず試作した遠心ポンプを体重15~28kgの雑種成犬に接続して, 右心バイパス3例, 両心バイパス5例を実施した. その結果, 羽根車の回転速度が大きいときに溶血率進行速度も大きくなる傾向がみられたので, 遠心ポンプを閉鎖循環回路に組み込んで実験を行った. その結果, 試作したポンプでは, 羽根車の回転速度が2100rpmを超えるときに溶血率進行速度が大きくなることがわかった. さらee血液全体に一定の速度勾配が与えられるコーン・カップ型試験機を作製して実験を行った. その結果, 速度勾配を2×102see-1以下に抑えれば, 4.5時間イヌの全血液ee速度勾配を与え続けても, 溶血率進行速度は10-3hour-1以下になることがわかった.