抄録
拍動流血液ポンプに発生するWater Hammerにより, 人工弁閉鎖の際, 弁前後には瞬間的に異常に大きな圧較差を生じる。この瞬間的な圧較差のPeak値を, 3種類の血液ポンブ回路モデルにおいて, in-vitroで測定し, ポンプの駆動制御方法との関係を調べた。その結果, ポンプの収縮・拡張時間のムダ時間の有無により圧較差は急激に変化し, ムダ時間のない場合, いわゆるfull stroke駆動状態において最大となった。また, 各血液ポンプモデルにおける流入側・流出側の圧較差の大小関係が, それぞれのポンプで人工弁破損を経験した部位によく対応していることから, 人工弁破損とWater Hammerの関係について考察した。さらに, 流入弁位において人工弁種と発生するWater HammerのPeak圧の関係を調べたところ, 人工弁の種類により大きな差がみられたので, Water Hammerを轍する手段として, 拍動流血液ポンプに用いる人工弁の選択や組み合わせについて検討した。