抄録
空気圧駆動式の補助心臓は、臨床応用例の報告がなされる段階に達した。我々はその駆動装置が大形で可搬性のない点を解決するために、新しい駆動システムを考案し、装置の小形・携帯化を計った。
駆動方式は、圧縮機で陽・陰圧源を作り、電磁弁のオン・オフで空気圧パルスを発生させる方式で、小形化のため、負荷の心要とする圧力と流量を圧縮機を直接制御して発生させる機構を採用した。
以上のような構想に基づき、Ni-Cd電池をエネルギ源とし、リニア式圧縮機、ベローズ式タンクを用いた一号機を試作した。装置は、150×300×500〔mm〕のトランクケースに収納され、総重量約15〔kg〕である。本装置を用いて駆動実灘行なったところ、定格の270/-20〔mmHg〕で9、7〔l/min(normal)〕の空気流量が得られ、平均動脈圧100〔mmHg〕左房圧10〔mmHg〕、100〔b、p、m〕、40〔% Systole〕の条件の下で、血液ポンプ流量6〔L/min〕を維持出来る時間は、2.5時間であることがわかった。