人工臓器
Online ISSN : 1883-6097
Print ISSN : 0300-0818
ISSN-L : 0300-0818
熱エンジンを利用した補助心臓から放散される熱の全身的および局所的影響
佐藤 尚原崎 広章J. SNOWW. SMITH杉田 洋一松下 昌之助兼古 悟R. KIRALY能勢 之彦
著者情報
ジャーナル フリー

1985 年 14 巻 3 号 p. 1214-1217

詳細
抄録
熱エンジンによる補助心臓が体内に放散する熱の影響を検討した。23-30wattsの熱により、体温が一過性に約1℃上昇したが、他に全身的な影響は認められなかった。表面温の高い部分に形成されたtissue capsuleは正常温のそれより厚い傾向があり、細少血管の内腔拡張および著明な血管新生像が特徴的であった。一方、血液接触面に形成された偽内膜の厚さを比較すると、術後1週間の時点では、加熱面の偽内膜(200±47μ)は正常温の偽内膜(548±133μ)より薄く、偽内膜形成遅延が認められたが、術後53日の時点では、両者に差はなかった。病理組織学的には、血液接触面温が42℃以下と考えられた部分の偽内膜には正常な細胞分布が認められたが、44℃以上の部分では細胞成分が著るしく減少していた。
著者関連情報
© 一般社団法人 日本人工臓器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top