人工臓器
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低体温循環遮断後の脳組織血流に関する検討
北浦 一弘和田 行雄門脇 政治佐々木 義孝大賀 興一岡隆 宏
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1985 年 14 巻 3 号 p. 1561-1564

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抄録
雑種成犬15頭を使用し, 低体温循環遮断後の脳組織血流の変化を測定した。冷却, 加温は拍動型ポンプを用い, 灌流量は100ml/kg/minの一定量とした。脳組織血流の測定は水素クリアランス法を応用して行った。拍動流による常温完全体外循環時には脳組織血流は減少せず良好であったが, 冷却後は食道温20℃で約38%と減少した。また復温時にはほぼ遮断前常温体外循環時の値に復した。しかし20℃60分循環遮断前後の脳組織血流を比較すると, 遮断解除直後には, 遮断前に比し同食道温(20℃), 同灌流量, 同動脈圧にもかかわちず約300%と著明な増加を認めた。以上の結果より, 循環遮断中に進行する微小血管の拡張のため, 遮断解除直後には血流再開により代謝に対し過大な脳組織血流の増大が起こり, この増大がreperfusion injuryの一因をなす可能性が考えられるが, この時期における脳代謝, 脳組織, 脳循環の面よりのより詳細な研究が必要である。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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