人工臓器
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腹水濃縮器(AHF-UN)を用いた体外循環中・後の血液濃縮
赤川 治夫諌本 義雄島 弘志柳 泉久富 光一大野 兼市原 洋大石 喜六古賀 道弘
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1986 年 15 巻 2 号 p. 1105-1108

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抄録
体外循環中の水分量コントロール, 人工心肺残留血濃縮再利用を目的に腹水濃縮器(AHF-UN)による血液濃縮を58例に施行した。体外循環中除水は968±568mlでHctを25%前後に維持し, 残留血の除水には8.5~10分を要し758±411 (n=20)を返血した。残留血濃縮によりHctは約1.5倍に, T. Protは1.9倍に濃縮された, free Hbも濃縮されたが, 返血による問題は生じなかった。本法は血液濃縮が良好で蛋白漏出がなく体外循環中の使用に適した方法と思われた。残留血濃縮再利用はヘパリン血のため時に止血確認に時間を要することがあり, この解決策としてより迅速な残留血処理が好ましいと考え, 体外循環終了後AHF-UNに残留血濃縮器ASA-1200を併用する方式を試みた。残留血1507±569mlを6.7±1.6分でHctを51.6%まで濃縮したがfree Hbも有意に上昇した。残留血再利用は血液節減上重要であり残留血濃縮器の普及にはfree Hb対策を早急に解決する必要がある。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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