人工臓器
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心臓補助循環下における心筋タンパク質合成反応の検討
田中 志信山本 修三山越 憲一神谷 瞭
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1986 年 15 巻 2 号 p. 571-574

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抄録

モータ直結小型渦巻式血液ポンプを用いた補助循環システムにより24時間の犬左心バイパス実験を行い, 補助循環による減負荷が心筋のタンパク質合成反応に及ぼす影響を検討した. 心筋細胞のタンパク質合成能を表す指標としては, 負荷変化に対する反応が早く, さらに心筋細胞核のRNA合成能を直接的に反映していると考えられるRNAポリメラーゼ活性を採用した. 活性値測定の為の心筋細胞核の分離は, 2.2Mの高張ショ糖溶液を用いて行った. 核収率はDNA量で約40%であった. 左室心筋のRNAポリメラーゼ活性値を右室の活性値で規格化した値は, バイパスを行わない対照ではほぼ1に近い値であったのに対し, 減負荷心ではバイパスを行った左室の方が右室に比べ低値を示した. この結果から左室心筋細胞のRNA合成能低下が予想され, 補助循環による減負荷に対し, 肥大心と逆の方向に心適応反応が進行する可能性が示唆された.

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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