人工臓器
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補助心臓のシステム抗血栓性;バイパス流量/期間との関係
松田 武久岩田 博夫高野 久輝中谷 武嗣妙中 義之野田 裕幸福田 幸人安達 盛次高谷 節雄阿久津 哲造
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1986 年 15 巻 2 号 p. 621-624

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抄録

本研究はセグメント化ポリウレタンを血液接触面に有する補助心臓のシステムとしての抗血栓性を保証する機構およびその支配因子を明確にすることを目的とした。対象とした実験系は成山羊健常心への慢性移植および不全心モデルでの回復・離脱過程を含む急性移植および臨床応用例である。システムの抗血栓性は, 1) 材料本来の血液適合性に加えて, 2) 流体力学的要素(バイパス流量)および 3) 移植期間の3つのパラメータによって概して支配されることを示した。1) の血液との相互作用は 2) のバイパス流量の低下によって, その強度は増加するが 3) の移植期間の延長によって漸減する。システム抗血栓性の移植期間依存性は時変数的な多重蛋白質層形成と密接な関係があることを示した。臨床応用に際しては, 移植早期(約一週間位まで)における離脱に際しては, 特に上記の生体適合化過程を理解して血栓形成を回避することが重要であることを指摘した。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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