1987 年 16 巻 3 号 p. 1150-1154
1984年11月から1986年3月までの期間に心臓手術後に発生した急性重症心機能不全に対してVADを使用した6例を対象とし, 適応, 駆動中の管理, 離脱の手順と方法, 合併症を検討した。対象は13歳から65歳の男子2例, 女子4例で, 原疾患は急性心筋梗塞, 重症弁膜症, 先天性心疾患各2例ずつであった。VAD適用の理由は体外循環離脱不能, 離脱後のLOS各3例で, 補助様式は左心補助5例, 右心補助1例となった。補助期間は最短28時間, 最長70日間であった。VADの流量はほぼ2.0l/min前後であったが駆動中はACTを150秒前後に保つよう適宜ヘパリンを投与し, 血小板の補充療法により血小板の減少に対処した。離脱はVADのon-off studyによる自然心の回復を主な基準として行った。6例中補助期間最短および最長の2例を除く4例が離脱し, 内1例が長期生存例となった。合併症は感染, 腎不全, 呼吸障害, 脳塞栓, 出血, VAD dependencyなど多岐にわたったが, 中でも感染が予後に最大の影響を与えた。