人工臓器
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血漿交換療法
酒井 聡一東條 克能
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1987 年 16 巻 3 号 p. 1199-1202

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抄録

免疫異常をきたす疫患になぜ血漿交換が有効であるか、血漿交換後の細胞性免疫能及び網内系機能異常の改善からまず検討した。しかし血漿交換の有効性は単一の機序ではなく、種々の因子が相互に関連して発現すると考えられる。今回、原発性及び二次性腎疾患由来の難治性ネフローゼ症候群に対して、血漿交換が血液凝固能異常・脂質異常に及ぼす効果並びに腎機能への影響を検討した。対象例全例で血漿交換前に高値を示したFPA、FPB、TxB2は施行後減少をみ、特にFPA、TxB2にて著明であった。次に高脂血症を伴った巣状糸球体硬化症2例に血漿交換とLDL吸着を施行したところ、血清脂質レベルの改善と伴に腎機能並びに蛋白尿の改善を認めた。以上の様に、今回対象とした難治性ネフローゼ症候群では血液凝固能異常や脂質異常が病勢を反映する指標となる可能性があり、細胞性免疫並びに液性免疫異常に加え、血漿交換の効果発現機序の一つになり得る事が示唆された。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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